結合強度のおはなし

10月、まるまる何も書かなかったのは、さすがにお仕事が結構入ってきて嬉しい悲鳴をあげてたからなんだけど、実は今も色々入ってきててありがたい限り…ただ、そんな中でもちょっとした隙間は発生するもので、ちょっと最近思うところを記録しておきたい。

きっかけは生まれて初めて足を踏み入れた東京モーターショウ。様々な展示があって、その規模に圧倒されそうになりながらも色々見て回ってた。んで、最後になんか未来志向の展示が集まってるエリアへ行ってみたんだけど…ヲイラ的にはものすごい違和感しかなかった。

そこでは、あらゆるモンが結合され統合され「便利なサービス」を展開できるといった感じのお話で埋め尽くされていた。まぁ、最近はやりのIoTとかだけでなく、いわゆる「コネクテッド」なお話が大々的に喧伝されてたのね。

個人的にロボットな方面…つまりはリアルな物体を相手にするコトを信条にしている者としては、「画面の中でならなんとでもできるよな」とかの感情も抱いたのだけど、それ以上に大きな違和感として、「そんなに接続されたら、多様性もなにもかも消えてしまうよなぁ」と感じたのよね。

様々な「モノ」が繋がって一連のシステムを構築しサービスを提供するという発想は、確かにシステムとしては良くできているのかもしれないが、そういうのが進めば進むほど実は全体としてモノリシック…つまり、画一化していく事が避けられないだろうなと、ヲイラは感じている。

確かに個々の細かい部分では多少の違いはあろうけど、あまりに結合密度が上がってしまうとそこからは抜け出せなくなり、「そのサービスの上に存在しないものは世の中に存在しない」という勘違いを引き起こす。その結果、そのサービスこそが世界になり、多様性は徐々に低下していく…多様性って、定期的に外部からの刺激がないといわゆるマンネリになってしまい、選択肢があるのに選択しなくなったりして、結局低下していってしまうんだよね。

まぁ、サービスの方もそれに抗うべく「オススメ」とかを表示するようになっていってるけど、それも結局過去の履歴の上にしか存在しないので、やはり画一化していくのは避けられないわな。

そうやって多様性が下がったモンって、ちょっとしたなんらかのキッカケで簡単に崩壊してしまったりするのは、たぶん歴史が証明しているんだと思う。アマゾンにしてもCCC(Tカード)にしても楽天にしてもそうだけど、ああいった囲い込み合戦もいずれ収束し大連合化していくのは眼に見えているワケで、その先に存在するのはものすごく脆弱化したモノリシックな世界ではないのかな…と思ったりする。

そう考えると、そろそろ「ディスコネクト」とか「アンプラグド」なモンを考え始めないとイケナい時期に来ているのではないかという気がして仕方がない。無論、一人で全てができる人なんていても極わずかなので、ある程度の社会は必要なワケだけど、基本的にはスタンドアロンで存在できて、緩い疎結合な形で物事を進めていけるような方向へ進むようにしていかないとアカンのとチャウやろかって思うんだよねぇ。

コードを書いてても思うけど、モジュール間は基本的には疎結合で、親戚関係みたいな奴だけ密結合にしとくのが一番強いと思うんだ。なんでもかんでも全て密結合で書いたコードって…どうなるのかはプログラマならたぶん知ってるよね。

今の世の中は、ひたすらいろんなモンを繋ぐコトばかりに躍起になってるんだけど、あれは全てを密結合にする方向でしかないとヲイラは思うんだ。そうやって取り込んでしまえば、自社サービスなしには生きられない人になっていくし、そうすればそこからナンボでも利益は得られるだろうからね。しかも、取り込まれた人もそこにいる限りはある程度の生存は「許される」環境だろうから、今度は依存してしがみ付くだろうし。

でもさ、これ実は違う形ですでに数十年前から存在してて、しかも今すでにもう崩壊してきてる別例があるんだよね。ほら、終身雇用って奴がそれ。今の世の中、終身雇用がどういう形で終焉を迎え、その結果放り出された人たちがどうなっていったのかはたぶん枚挙に遑がないほどあると思うんだけど、昨今の「接続サービス」にも同じことが言えるとヲイラは思うんだ。

そろそろ、スタンドアロンで「ある程度は」立っていられるような自分になっていかないと、またこういった放り出しを食らってボロボロにされる人生が待ってるんぢゃないかな。また、社会もそうでいられるように、接続されたモンばかりを利用するのではなく、むしろ接続されてないモンを積極的に発掘して使うようにする必要があるんぢゃないだろうかと思うんだ。

結合強度は、デフォルト疎/特定な部分だけ密な方がおすすめですわ…というおはなしでした。

Zak について

基本的にヲタクです。いや、別に萌えとかいうのではなく、ハマるとトコトン進めようとする癖があるので、自制が必要だという…。
カテゴリー: 日常 パーマリンク