なぜ3D CADで設計するのか(ヲイラの場合)

ここ数年来ずーっとRCJ(ロボカップジュニア)をワッチしてるのだが、時代の流れというか尖った人材の乱入のせい(笑)というか、昔のような切った削った貼ったの時代からだいぶ進化してきてて、きちんと設計してきちんと部品をCNCで削り出してきちんと組み立てて動かす方へシフトしてきてる感じがする。

これはある意味当然のコトで、道具が進化している以上いつまでも原始的なやり方や、既製品だけでモノを作っていくのには限界があるし、進化した道具を低学年のうちから経験する事もまた、当たり前のコトだろうと思う。ま、コストの問題はあるにせよ、今は各地にそういった工房もできているので、必ずしも全てを購入せねばならないというコトでもないだろう。

(実際問題、ヲイラが中学生の頃はそもそもプログラミングするコト自体生徒がやるコトではなかった。そんなコトやってたら「遊んでないで勉強しろ」とさえ親に言われたものだ。これに関しては、今でも時々親にリベンジしているが(笑))

しかしながら、まだ今の所「あの道具を使えば勝てるのか」レベルの発想で導入しようとしてるケースが後を絶たないらしい。CNCを使えば勝てるとか、3Dプリンタを使えば勝てるなんて発想は、ブッチャケて言えばボンクラ以外の何者でもない。

で、折角こういう場所も作ったので、自分を例に引きながら何のために3D CADを使い、何のためにCNC等を使っているのかを解説してみるコトにする。願わくば、御無体な要求(笑)を喰らい続けているであろう各地のメンターさんの補助になればと思う。

理由その1:事前に組み上げ予想がつく

事前に組み上げ予想がつくというコトは、切った貼ったで積み上げた時によく発生する「部品が入らない」という問題を回避できる可能性が非常に高いというコトだ。黙々と切って作った部品がゴミになるのは泣けてくるだけでなく、大きな時間のロスを生む。従って、仮にCNCや3Dプリンタを使わなくても、3D CADで設計するコトには大きな意味があると思う。

また、逆に全体像が事前に見えるコトで、機能的な検討を画面の中で行ったりするコトもできる。センサーの位置とかって、実際に組む前から検討できるってのはかなり強力だよね。場合によっては、格好良さをそこで追求することだってできるし(笑)。

(ま、本来はこっちが優先で、どういう格好の中にどう詰め込むかと考えるのが筋なんだけど、ここではRCJ等に話題を絞るのであえて書かない)

ただし、これには条件がある。それは「全てを原寸でモデリングすること」である。つまり、組み立てに使用する全ての部品を3D CAD上に描き出さないと、実際に組めるかどうかは判断できないというワケだ。まぁ、さすがに細かいネジまでやる必要性はそうそうないとは思うが、スペーサやモータ等、市販の部品も全て採寸し、一度モデリングする必要がある。そうすれば、入る/入らないとか、ネジが締結可能かどうか(ネジ穴の位置が狂ってないか)等が判断できるコトになる。

(だからといって、無意味に細かい部分(ネジ穴のネジ山とかさ)までモデリングすると、今度は3D CAD自体の動作が重くなってしまうので注意。寸法的に重要な部分を重点的にモデリングするのがコツだろう)

なお、別の注意として「工具が入るルートがあるかどうか」「組立手順」もよく検討せねばならないというコトを付記しておきたい。画面の中ではどんな部品をどういう順番で並べても概ね組立可能であるが、実際の品物を組み立てようと思ったら、ドライバやレンチが入るルートがなかったり、実際には組み立てが不可能というケースがあるのだ。これでは折角データができても役立たずになってしまうので、細心の注意が必要だと思う。

ちなみに、通常3D CADではモデリングは単体部品単位で行う。画面内での組立は、事前にモデリングしたデータを組立図内に割り付けて行う。例えば同じモータが4個あるのなら、1個だけモデリングして、組立図内に4回割り付ければ済む。後から変更するのにも、こうしておけばモデリングした1個を修正するだけで、組立図内の4個は自動的に更新される。この辺も3D CADを使う理由の一つだ。2Dや方眼紙ではなかなかこうはいかないよね。

また、この関係で可動部の当たりチェックも画面の中で可能。例えばハッチが何かに当たったりしないかどうか、画面の中で確認する事ができるので、間抜けな設計をしてしまう率も減るコトになる。

無論、一度モデリングしたデータは再利用が可能なので、他にも使うことを念頭にライブラリフォルダを作って入れておくのも一手だろう。ヲイラも、そういうファイルを大量に抱えている。

理由その2:寸法を割り出すのが楽(間違いにくい)

3D CADは当然寸法を設定しながらデータを作成していくので、それらが存在する組立図内の空間距離は正しい寸法になっている。従って、例えば組立図内で何かの部品を組み上げたあと、任意の二点間の寸法を組立図内で「計測」することができる。

これは思いの外便利で、複数の部品にまたがる部品を設計する時や、斜めの部品が存在したりする時には非常にありがたく思える。そしてこれもまた間違った部品を生み出さなくて済むというメリットにつながる。もちろん、そうやって寸法を割り出して新たに作成した部品のデータは、当然組立図内で組み立てられ、実際にうまくマッチするか確認できる。

理由その3:3DプリンタやCNCにデータを引き渡せる

もちろん当然と言えば当然なのだが、3D プリンタやCNCはデータがなければ何もできない。このデータを生成するのには各種の方法があるが、3D CADで設計していれば、簡単な変換だけでこれらに引き渡すデータを生成できる。

立体物を3Dプリンタに出力させる場合は、モデリングした3Dデータからソレ用のファイルフォーマットへ変換(stlファイルが多いかな)してやればイイし、CNCを使って板を切り抜くなら、同じく3Dデータから平面図を生成し、それをまた変換(こっちはdxfファイルが多いかな)すれば済む。変換時に若干の誤差を含む場合もあるかもしれないが、基本的には寸法はそのまま変換されるので、生成される品物の寸法も基本的には間違いがないことになる。

このことはすなわち、設計で確認できた(間違いのない)寸法の通りに実際の部品が生成されるということであり、逆に言えば3D プリンタやCNCはそのために存在する道具なのである。こういうプロセスを経ないでCNCや3Dプリンタの話をするのはナンセンスと言っても過言ではないだろう。

結論

従って、3D プリンタやCNCの導入を騒ぐ前に、まず3D CADでの設計を進めることをお勧めする。今なら無料で使えるソフトも結構あるのだから、手を出さない理由がない。

まぁ、パソコンのスペックによっては少々大変かもしれないが、恐らく現段階においてはそれはもう限りなく古いものではないかと思うので、これを機に最新モデルに更新しても良いのではないかと思う。その際はできるだけ大量のメモリを積むことをお勧めする。

以上

Zak について

基本的にヲタクです。いや、別に萌えとかいうのではなく、ハマるとトコトン進めようとする癖があるので、自制が必要だという…。
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