「時代はアナログ」序文

そういうワケで、時間を見つけては書いているのだが、書いてるだけだとやっぱりシンドい(^_^;)。なので、そろそろテキストだけアップして行こうかなとか考えてる。序文と概論のトコだけアップして、後は紙の本にしとこうかしらね…(笑)

●時代はデジタル?

世の中、マイコンが使われ始めてもはや数十年。昔はマイコン搭載であったコトが宣伝文句にもなっていたけど、今やもう誰もそんなコトは言わない。確かに世の中の表向きは全てがデジタルになったように見える。しかし、デジタルと言えども実際に回路を動かしているのは電流であり電圧(より正確には電位差)…つまり、電子の流れが全てを決めている。単純なデジタル回路であれば問題にならなかったようなコトが、高性能化に伴って昨今はかなり問題になってきており、ほんの少しの配慮をしなかっただけで動くハズの回路が動かなかったり誤動作したりする。ましてや、モータやスピーカ等の機構を動かすようになってくれば、その駆動回路部は今でも純然たるアナログで動作していたりする。実は今でも…いや、下手すれば昔以上に今はアナログの技術が重要になっているのかもしれない。

本書のターゲットは、電子工作を始めてはみたものの、既成の基板では動作していたのに自作の回路がどうしても上手に動かないなどして挫折してる小中高生(もしかすると高専生や大学生も?)とする。ここでは、いわゆる理論の話や数式の話は可能な限り減らし、概念としてどう考えていけばそういった問題を減らせるのかの手解きをしていきたい。なお、逃げ口上(笑)ではあるがアナログの世界は奥深く、同じように見える問題も状況によって異なる原因だったりもする。なので、ココで述べたコトが万能というワケではなく、ケースバイケースで適宜再考していかなければならないというコトだけは先に申し上げておく。実際問題、ヲイラ自身も問題の同定を行うだけでも、かなり難しいケースに何度も遭遇しているし。

なお、わからない部分はわからないなりに一通り読んでおいて頂けると、後日「あ、あれはそういうコトだったのか」とか「あ、Zakは勘違いしてやがる。けけけ」とか言えるようになるかと思うので、さらっと流すだけでも読んでおいて頂ければ幸いである。その価値があるような内容にしたつもりではある。

さて、たぶん、今でも小中学校のどこかで電圧や電流のコトを習い、乾電池は1.5Vとか実際にテスタで計測したりとかあったんぢゃないかと思うんだけど、一方で最近流行りのマイコンボード遊びにおいて、デジタル入力とかデジタル出力ってのは「ゼロ」とか「イチ」で話が済んでしまう。電気で動いているハズなのに電圧や電流のコトはあんまりなくて、基本的に全てが数字で話が済んでしまうのって、なんか不思議だと思いませんか?

もちろん、知ってる人は知ってると思うけど、これはごく単純なお話で、電圧があるレベル以上になったらイチ、以下になったらゼロと「考える」コトによって実現している。では、例えばマイコンボードのデジタル出力にモータ(例えば一般的なマブチの130とかね)を接続したらどうなるだろう。ゼロの時は、たぶん電圧は概ね0Vだから回らないのは当然として、イチの時に何が起こるだろうか。5V電源のマイコンなら概ね5V、3.3V電源なら概ね3.3Vがイチの時に出力されているハズだ。マブチの130だと、乾電池一本(1.5V)も掛ければ回るよね。

でも、実際にデジタル出力にモータなんか接続してもまず回らないし、場合によってはマイコン自体を壊してしまうことさえある。それは何故なのか、正確に答えられる人はどれぐらいいるだろうか。ここでは、デジタル回路においてワザと無視している(そして、実はだんだん無視できなくなってきてもいる)本来の電気に関するお話を並べておいた。

(序文、ここまで)