久しぶりに自分で設計し作ったアンプなんやけど、割と調子も良いし頒布できないかなと思ったので、まずは説明書きのページを用意するか…と。
念の為やけど、単なる部品の詰め合わせなので、全ては自己責任でね。
●仕様
回路としては、OPAmpにダイヤモンドエミッタフォロワの電流ブースタを接続しただけの簡単なもの。それに電源回路(というか、中点生成回路)を付加しただけやな。
出力は8Ωで2W程度。それでも家の中で鳴らすなら充分やね。
で、ここでちょっと改訂なんやが、いくつかの部品を変更するコトにした。
まずはトランジスタ。理由は単純で、元の設計にある終段のトランジスタが入手困難になってきたから。実は前段も終了品なんやが、こっちはまだストックがあるので、しばらくは大丈夫そうなのな。なので、前段と同じものを終段にも使うコトにする。回路図はそのまま読み替えてね。
次に電解コンデンサ。オーディオ用の供給があまりに不安定になってきたので、この際高分子系のものに交換するコトにした。既にフルトラ版はそうなってるし。C12, C32とC15, C17, C35, C37を変更した。ディスクリート版と同じ容量で問題なかったので、共通化。
以降、本文中の改訂部分は太字にしてある。
●部品表
いずれも秋月で確保できるハズ。まぁ、なくてもどこかの電子部品屋で手に入るよね。
Ref | Qnty | 仕様 | 秋月番号 |
C1, C2, C5, C6, C7, C14, C16, C18, C34, C36, C38 | 11 | 0.1uF(注意1) | 109790 |
C3, C4 | 2 | 2200uF(注意2) | 108384 |
C11, C31 | 2 | 1uF (注意3) | 109792 |
C12, C32 | 2 | 220uF 16V | 108291 |
C13, C33 | 2 | (open)(注意4) | |
C15, C17, C35, C37 | 4 | 100uF 16V | 108290 |
D1 | 1 | 3mm(注意5) | 111633 |
D2, D3 | 2 | 1S4 | 116384 |
HT1, HT2, HT3, HT4, HT5, HT6 | 6 | 放熱板 | 105052 |
放熱シート | 10 | 102687 | |
J1 | 1 | L-Line In(白) | 116497 |
J3 | 1 | R-Line In(赤) | 116498 |
J2, J4 | 2 | SP Out(注意6) | 101313 |
J5 | 1 | DCジャック(注意7) | 106568 |
Q1, Q3, Q5, Q7 | 2 | 2SA1359Y | 110042 |
Q2, Q4, Q6, Q8 | 2 | 2SC3422-Y | 109669 |
Q9 | 1 | 2SD880L | 108748 |
Q10 | 1 | 2SB834L-Y | 108747 |
R17, R18, R37, R38 | 4 | 0.2 Ohm 1W | 108799 |
R19, R39 | 2 | 10 Ohm 1W | 108805 |
R4, R14, R34 | 3 | 100 Ohm 1W | 108816 |
R15, R16, R35, R36 | 4 | 270 Ohm 1W | 108823 |
R12, R32 | 2 | 1k ohm 1W | 108829 |
R1, R2, R3, R13, R33 | 5 | 10k Ohm 1W | 108839 |
R5, R6 | 2 | 1 Ohm 5W | 110701 |
RV1 | 1 | 50k Ohm(注意8) | 112574 |
U1 | 1 | NJM2068DD(注意9) | 102358 |
U2 | 1 | NJM4558(注意10) | 111236 |
ネジ | 4 | M3-12 | |
ネジ | 2 | M3-5 | |
ワッシャ | 18 | M3 | |
電源アダプタ | 1 | 19V 3A以上 | 110665 |
- 注意1:ここはフィルム系がオススメ。積層セラミックとかはヲイラは使わん。
- 注意2:16V以上あれば問題ない。容量もこれ以上あれば大丈夫やと思う。
- 注意3:最近は減ったと思うけど、もしソースがOCLでないならココの容量はもっと大きくした方がいい。実際、ウチのは3.3uFとか4.7uFになってる。ただ、秋月やとこの辺りのいいコンデンサがあんまりないのよね。一応、4532サイズのSMDもハンダできるようにしてあるので、PMLCAPの4.7uFとか10uFがオススメ。もしくは千石あたりでWIMAの3.3uFとかでも良い。色々交換しやすいように、ココのランドは広めに枠を取ってある。
- 注意4:基本的には実装しない。ただ、色々弄っててもし発振とかしてしまった場合は、ココにフィルム系の47pF辺りを実装してやれば止まると思う。そういう時用の予備枠ね。
- 注意5:色はお好みで。ヲイラは電球色が好き。
- 注意6:基本的には基板に直接ハンダしても良いし、基板に載るなら5mmピッチのコネクタならなんでも良い。ウチのはネジ式の端子にしてある。
- 注意7:秋月の電源アダプタならφ2.1mm。4A対応の奴。
- 注意8:カーブはお好みで。ヲイラのはAカーブ。
- 注意9:とりあえずならコレ。安くて良い。あとはお好みで。
- 注意10:ま、低めの電源電圧でも使える普通のOPAmpならたぶん大抵のでOK。
ソケット類は明記してない。ヘッドホンアンプみたいに抜き差しして遊ぶなら、U1はソケットにしといた方がええかな。U2はお好みで。電源の安定度の違いとか気にしないなら、直接ハンダしてしまって構わないと思う。安いOPAmpやし。
ネジ類はホムセンで確保した方が早いし、たぶん安い。
●組み立て方
と言っても大した話はない。部品表に従って基板に部品を実装していくだけ。基本は背の低い部品から順番やね。調整回路もないし。
お勧めの手順としては、先に電源周りを完成させてキチンと動作してるのを確認してからアンプ部の実装をした方が良いかな。放熱板の配置の関係で、Q9と放熱板の固定を先にやっておかないとネジ締めれなくなるし。
J8にGNDがあるので、ココとD2やD3の片方との間をテスタで計測し、±9.5Vが出てたら問題なし。
アンプ部のトランジスタの実装はこんな感じ。これは熱結合で、チャンとやっておかないと簡単にトランジスタが熱暴走を起こしてお亡くなりになる。
改訂版は少しややこしいので、写真の枚数を増やした。





注意点としては、放熱板に近い側のトランジスタは印字面が放熱板側、ネジ頭の側のトランジスタは印字面が手前側ってトコだろうか。なので、上から見るとパッケージの頭が上下対称に見えるハズや。
上から順に、ワッシャ、前段トランジスタ、放熱シート、後段トランジスタ(裏向き)、放熱シートと重ねて、M3-12のネジで一気に放熱器に固定してある。ネジに全部通してから放熱器にネジ止めするのがラク。
元のTO220な終段の場合はこうな。
上から順に、ワッシャ、前段トランジスタ、放熱シート、ワッシャx3、後段トランジスタ、放熱シートと重ねて、M3-12のネジで一気に放熱器に固定してある。ネジに全部通してから放熱器にネジ止めするのがラク。
先にガチガチに締めると基板に載せる時に苦労するので、軽く締まった状態で基板に載せる。シルクに合わせて放熱器の向きを整えた後に放熱器のピンをハンダしたのち、トランジスタのハンダをしてからネジを本締めするのがオススメかな。
この放熱器は各終段トランジスタのタブと導通しても問題ないようにしてある代わりに、隣の放熱器と接触してはならないので、向きには注意すること。1mm程の隙間をチャンと開けてないとマズいコトになりまっせ。
●動作
特に注意はないかな。色々接続後、ボリューム絞っておいてから電源を入れ、ボリュームを上げて音を聞くって感じ。最初は組み間違いを警戒して、ジャンクのスピーカにしておいた方が良いかもね。
あえて電源スイッチはつけなかったので、ACアダプタのAC側でオフしてくださいな。ライン入力すると、フルボリュームならかなり大きな音がするハズ。スピーカが4Ωやとより大きな音がしますな。
温度的には、アンプ側の放熱器が70度前後で安定するハズ。電源側は35度ぐらい。ウチで放射温度計で確認した範囲やけど。なので、アンプ側の放熱器は触ると熱いよ。
改訂版ではアンプ側の放熱器が60度前後で安定してる。トランジスタの特性が前後で同じになったから、ロスも少なめになったみたいやな。それでも熱いけど。
その状態で丸一日鳴らし続けても壊れなかったぐらいの実績はある。
●その他
改造するのは、当然自己責任下においてではあるもののお好きにどうぞって感じなので、CR類を変更するなりトランジスタを変更するなり、色々やってみると良いと思う。
ただ、当然やけどアンプ側のトランジスタを交換して色々試すならフルモールド型にしないと壊れますな。
ケースに入れるなら、RCAジャック、DCジャック、スピーカ端子を実装せず、配線を直接ハンダするようにすれば良いと思う。でも、ボリュームはあまりソコから引き出さない方が良い。たぶんノイズが乗るからね。
オープンでいくなら、この基板のサイズは秋月のBサイズ基板と同じなので、スペーサ使って上下に保護板としてBサイズ基板で天井と床を装備すれば良いと思う。ただ、熱がこもると案外熱くなるので、放熱には注意のコト。
とりあえず、こんな感じかな。