ロボカップジュニア雑感

そういうワケで、この金土日(2017/03/24〜2017/03/26)に岐阜県の中津川で行われたロボカップジュニア(以下、RCJ)を観戦してきた。

会場の立地とか色々言いたいコトはあるけど、それはちょっと脇に置いておいて、大会に関していくつか思うところをメモしておく。なお、ヲイラは基本的には自律型にしか興味がないので、自然とサッカーのお話のみになるのはご容赦いただきたい。

●ロボカップジュニアの意義

基本的には、元々のロボカップも含め技術の向上という目的がかなり大きい大会であるという認識であり、あまり勝ち負けのみに拘るべきではない大会だと認識している。参加選手は未成年を主体としており、年齢制限が厳格であり、ある年齢になったら参加できないという時限型の大会である。

とはいえ、勝たないコトには上位の大会には出られず他所のチームと対戦できないし、対戦しなければ新たな知見は得られないというコトを考えれば、ある程度は勝つことも考慮せねばならんという微妙な部分も持っているのだろう。

RCJのルールとして、機体の製作はすべて選手本人たちに委ねられ、大人は関与してはいけないという大原則がある。参加選手の技術の向上という観点からすれば、これは当然の措置だろう。そのため、大会会場ではパドックやコートは選手とスタッフのみ立ち入りが認められ、それ以外の親御さんメンターさんは、みな観客席からの観戦しかできないコトになっているし、成績上位者については製作したロボットに関する聞き取り調査を行って、実際に本人が製作しているのかの確認も行われている。

当然、比較的年齢差の激しい大会でもありいくつかのクラス分けが存在する。現状のクラス分けはそう悪い感じはしないなぁという印象だ。

●大人の関与の問題

やはり未成年主体の大会であるためか、親御さんや先生がシャシャリ出るケースが結構あるようで、それが色々と問題になっているようだ。実際問題、今回の会場でヲイラが見かけたシーンとして、

  • 機体やノートPCをパドックの外(=大人の居場所)へ持ち出して大人に指南してもらう
  • 観客席からケータイで電話をし、パドック内の選手に指示を出す

といった行為が散見された。外部持ち出しはゲートキーパーがきちんと仕事をすればかなり防げると思うが、ケータイで指示を出すのはかなりチェックが難しいだろう。音声ならまだしも、チャット等になればほとんどわからないだろうし。

また、特に部活とか地域団体系に多いようだが、過去の機体の情報をそのまま引き継ぎ、「技術の継承」を基本として活動している団体がある程度いるようだ。こういった行為は他の大会では普通に認められるコトだろうと思うが、はたしてこのRCJでそういう行為は褒められるコトなのだろうか。

同様に、特定の団体の中で特別に設計された部品を使うのも同じで、その部品が一般に公開されていない部品である場合、その団体に所属する選手に、その団体に関わる大人が便宜を図ってるとも考えられるワケだ。そういった行為は本来のRCJの意義に照らし合わせて、果たして良いことなのだろうか。

もちろん、多くの場合は参加選手が自分で半導体を作ったりはできないように、ある程度「すでに大人が作った部品」を使うのは当たり前ではある。しかしながら、その部品がクローズドな範囲でだけ流通している場合、それを一般に手に入る部品と同義に捉えるのは、かなり難があると思う。

同じことはソフトウエアにも当てはまる。巷に公開されているソースコードを引っ張ってくるのであればまだ問題はないかとは思うが、過去団体に所属していた選手が使っていたソースコードをそのまま引き継ぐような行為があるのだとすれば、それは明らかに「本人が作った物」ではない。コードは目に見えては分からないから判断するのは非常に難しいけど、少なくとも本来のRCJの意義からは逸脱しているのは間違いないだろうと思う。

こういった行為に関しては、もちろんルールで排除されるベキことだとは思うが、そもそも周囲の大人がキチンと判断をし、本来の意義に反することをしないようにするのが大前提ではないだろうか。恥ずべき行為をしているのは、基本的には大人の側なのだから。

したがって、ヲイラは周囲の大人に関しては、こんな風に行動していく必要があるのではないかと思う。実際問題、ヲイラ自身も色々と助言を求められるコトがあるが、基本的にこのやり方に則って行動しているつもりだ。

  • 助言等に関しては、ネット等のオープンな場で行う
  • スペシャルな部品は、その流通を公開し、誰でも手に入るようにする
  • ロボカップにしか使えないような部品の配布はしない
  • 過去のソースコードを引き継ぎたいなら、そのコードはオープンソースにする

といった感じであろうか。フェアさ、選手の技術向上、それらを合わせて考えれば、基本的には「選手が使うモンはみなオープンになっている」というコトが大前提にならねばならないのではないかと思う。

●バッテリ問題

以前からリチウム系のバッテリに関してかなりの迷走が見られるRCJ界隈であるが、今回も呆れた規制が掛かっていて、ある意味「損害賠償」モノだなぁという印象しかない。

リチウム系バッテリの危険度については、もちろんこれまでにも何度も議論されてきているし、実際問題、いくつかの事故が発生してもいる。しかしながら、これも相変わらず妙に過大判断してしまっているフシがある。

LiPoとLiFePoを同じ扱いにして一様に規制しているのも呆れるが、充電器の安全性に関してPSEマークを基準に置くに至っては、明らかに技術的な考察が行われていないのではないかと考えざるを得ない。このマークはACコンセントに繋ぐ機器としての確認をしているだけで、充電器としての安全性など全く担保していないのだから。

そしてなにより、こういった充電器は本来RC用であり、屋外で使用されるコトを前提としている。すなわち、乗用車等のバッテリから電源を取ることを前提としており、DC12V電源で動くものが大半である。これはつまり、大半のRC向け充電器にはPSEマークなど表示されていないコトを意味する。このせいで、今回新たに何万円もする充電器に買い直させられたチームが複数存在すると聞いている。

さらに、バッテリと充電器のペアに関して、メーカー推奨条件のない組み合わせの場合は1C充電に制限するという馬鹿げた規制まで掛けている。その結果、試合経過に対してバッテリの充電が追いつかないために、大量のバッテリを発注、ホテル等で充電をしておき、会場での充電には期待しないようなコトまでなされている。これも、無駄にお金を使わせるだけの規制だし、仮にホテルで充電して万が一問題が発生したとしても、大会としては感知しないという甚だ無責任な考え方によるものと言わざるを得ない。

これらに関して、無駄に何万円も費用を負担する羽目になったケースに関しては、大会運営側に対して損害賠償を請求してもイイぐらいのお話ではないだろうか。オマケにこれらの規制は大会のほんの数ヶ月前に発表されており、明らかに無駄な混乱を招いているとヲイラは思う。

また、これまでの装備が安全でないというのなら、それを大会運営陣は証明したことがあるのだろうか。実際問題、他にもロボット大会は多数あり、今やリチウム系のバッテリはどこでも普通に使われている。それらの大会で、DC12V電源の充電器「だから」トラブルを発生させたなど、そういった情報が多数存在するのならまだしも、ほとんど聞かないレベルではないだろうか。今回のこれらの規制は、大会運営陣のあまりの無知が原因になっていると判断せざるを得ない。

RCJの意義が技術向上にあると考えるのなら、大会運営陣自体が現在どういう技術がどうなっているのかの最新情報をきちんと把握、判断するのが当然であろう。今の運営陣にはそれができないというのなら、そもそもそんな人達がこの大会の運営をするベキではないだろう。運営陣の人選の再考と入れ替えが必要ではないだろうか。技術の分からない者が技術を語ってこういった馬鹿げた規制を行う行為自体、技術の向上を大幅に妨げるのだから。

●大人向けの大会

ヲイラ自身はもう10年以上前からロボカップ関係になんらかの関わりがあるのだが、ここ最近のRCJの、特に今年で言えばWSOやWSLのレベル向上には目を見張るものがあると思う。

あれだけの制御をきちんと行うのは、正直な話、大人でも結構大変だろう。ましてや、WSOは2017年の世界大会からは赤外線ボールを改め、シニアのロボカップと同じオレンジのボールを使う事が規定された。こうなると、カメラを用いた画像処理が必須になってくる可能性が高く、大人でも躊躇しかねないレベルだと思う。

もっとも、若い衆はやはりエネルギーがあるし、なによりこういった処理のためのコードにはオープンソースになっているものが多いので、上手にそれらを組み合わせて仕上げてくるものと思う。また、それが「世界」では当たり前のレベルだというコトなのだと思えば、「できない」とは言えないだろう。

一方、ここまでレベルが上がってくると、大人であってもまとめるのが大変であろうと思える分、実は触手も動かされるというか、挑戦してみたくなるのも人情だろう。実際問題、ヲイラ自身テストベンチレベルではあるが、設計を楽しんでみたりもしている。

なので、例えばWSOに関してはシニアクラス(もしくはOBクラス…一般にはオヤジリーグか?)の創設を期待したいと思う。現行のWSOはそのままにし、別途年齢無制限のクラスを用意して、大人の参戦を募ってもイイんぢゃないかと思う。

そして、その参加の際の条件として、「設計情報の全てをネットで公開せよ」と義務付けておけば良いのではないだろうか。そうすれば、これから勉強をしていく未成年の人達にも良いヒントが供給されていくだろうし。

以上

(他にも気づいたコトがあれば、順次追記の予定)

Zak について

基本的にヲタクです。いや、別に萌えとかいうのではなく、ハマるとトコトン進めようとする癖があるので、自制が必要だという…。
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