「時代はアナログ」電源装置の選び方

ツイを眺めてたら、なんか電源装置がらみでトラブルが発生している案件があったようなので、チョイと解説を試みる。たまに勘違いが混じってるかもしれんので、ご指摘いただければ幸い…。

バッテリ以外の電源装置(要するにコンセントから電力をもらって変換して出す奴)って、大きく分けてスイッチング方式とシリーズ(アナログ)方式があるんだけど、この特性を理解しておかないと、動くもんも動かない。

最近はスイッチング方式が増えてきてるので、とりあえず手に入るのはスイッチング方式の電源装置であるコトが多い。コイツのメリットは小型軽量であることと、変換効率が高いこと。出力可能な電力に対する装置の大きさが異様に小さいし、変換効率も高いので余分な発熱が少ない。

いいことばかりだと思ってしまうんだけど、実は落とし穴がある。それは、ピーク電流に対応しきれない場合が多いってコト。スイッチング電源は、その名の通りスイッチするコトで電圧を制御しているのだが、このスイッチには当然周波数があり、オフになっている期間にはコンデンサに溜まった電力だけが負荷へ供給されるコトになる。従って、スイッチ周波数以上に高速なピーク負荷が掛かった場合、あっという間にコンデンサ内の電力を消費してしまって簡単に電圧ドロップしたりする。

無論、そこは仕様として最大電流の規定もあるワケだが、場合によってはその範囲内でも急峻な負荷には対応できない場合すらある。これはコンデンサ自体の周波数特性的に、高い周波数でのインピーダンスが高めのコンデンサ(≒いわゆる安物の電解コンデンサ)が使われている場合やね。安い電源装置って、こういうトコで安い部品を使ってるコトが多い。

一方、シリーズ電源はというと、概ねメリット/デメリットが逆転する感じになる。つまり、デメリットとしてクソ重い上に変換効率が低く、発熱も激しい(ウチの部屋で電源入れてると、冬場の暖房すら緩和される)けれども、急峻な電力消費にも(限度はあるものの)程よく追従できる。

なせなら、シリーズ電源ってのはつまり良くある三端子レギュレータのオバケみたいなものなので、常に元電源からの電力が供給し続けられるから。出力コンデンサだけになる瞬間が存在しないんだよね。だから、急峻な負荷にも電気の速度レベルで対応されることになる。

無論、ココにも電源自体の回路設計の良し悪しがあって、アナログ回路的にどこまで急峻な反応ができるのか?というお話はあるワケだが、少なくとも大抵の場合はスイッチング電源よりはマシな動きをする。

最近では、スイッチング電源にも改良が加えられ、そのスイッチ周波数を異様に高くするコトで、より小型化/高効率化が図られているが、そういうものであれば、スイッチング電源でも急峻な負荷に対応できるようになってくるのかもしれない。

ざっくりだけど、この辺を分かった上で電源を選ばないと、動くモンも動かないのよね。特にモータを使った何かを作っている人は要注意やな。もしシリーズ電源が手に入らないのであれば、いっそのことバッテリで作業するコトをオススメする。ホビー二足ロボで顕著なんだが、電源装置で動かして作ったモーションは、バッテリで動かすと動きすぎてハネるコトがあるぐらい、電源の差ってデカいからね。

以上