[Essay] 頭脳で何かを産み出す人へ

ふと思ったコトがあったので、メモ程度に…

ロボットとか製作してると思うのだが、高性能なセンサーほど壊れやすい。繊細な変化を捉えるコトができるセンサーは、多くの場合で耐久性が低い。当然と言えば当然で、微細な変化が感知できるというコトは、基本的には慣性の低い(つまりは華奢な)何かでセンスしているというコトだから。そこに無理なチカラを加えたら、そりゃ簡単に壊れる。

これと同じコトが、人間の創造力(想像ではないよ)にも言えるのではないか…と、ヲイラは思っている。より高みを目指し、優れたもんを産み出そうと思えば、より繊細な感覚でもって対峙するしかない。昔から「神は細部に宿る」と言われるように、細やかな配慮なり仕掛けなりがあってこそ、全体が生きる…無論、土台がダメやと何やってもダメやけどな。

でも、その土台がダメにならないようにするコト自体も、実は細かい配慮の賜物だと思うのよ。土台は土台だけで存在するのではなく、その上にどういうモンを立てるのかを考えた上で作られるモノのハズだから。

残念なコトに他人が産み出したモンを殊更に見下す連中というのはいつの世の中にもいる。また、正当な批評であっても、やはり大きなチカラとして自身に作用してくるコトは否めない。それをそのまま受けてしまったら、先の高性能なセンサーはたぶん悉く壊れてしまうだろう。

そういった外力に対抗する一番簡単な方法は、センサーを鈍くするコトだろう。つまり、鈍感になれというコト。実際問題、そうやって鈍感になっていった人も多数いてると思う。ただ、これには大きな問題がある。当然のコトやけど、鈍感になった時点で高みを求める創造はもうできなくなる。鈍いセンサーで制御したって、シャープな動きはできないのと同じやね。

ここに、大きな問題があるのよな。社会の中で生きていくにはある程度鈍感であらねばならないが、一方で何かを産み出していくには敏感であらねばならない。ましてや、それで飯を食おうと思ったら、社会からは逃げられないのだから余計に厳しい。ラクをしたければ、鈍感になって誰かに言われるがままに言われたコトを言われた通りにやってれば良いのだけど、自分の頭脳で何かを産み出したいと思っている場合は、この矛盾をどう解消すべきかが大きな問題になる。

というか、たぶんこの矛盾は一生解消できないのかもしれない。そこで悩むという行為もまた、敏感であるがゆえに発生する事なのだとしたら、悩まなくなった時点で鈍感に成り下がったというコトなのだから。

一方、先のような見下しをしてくる連中ってのは大半が鈍感な人たちなワケだが、実は案外かつては敏感だった人達だったりもする。要するにやっかみやな。この構図は親子の間でも時々見られる。親が鈍感になってしまっていて、敏感な子どもの感覚を潰しにくるわけだ。しかも、世間体的には鈍感になるコトに関して「苦労して子育て」という言い訳ができるし、子どもに対してもその方が「社会に適合させる」という大義名分があるからタチが悪い。

こんな連鎖を断ち切るためには、少なくともいま敏感である人たちが鈍感にならないようにしてもらいたいのと同時に、鈍感な連中の攻撃を回避する方法を一緒に考えてあげる必要があるんぢゃないかと思ってる。少なくとも、敏感で悩んでいる人はアナタだけではないよと分かってもらえるだけでも、まだ心の支えになるんぢゃなかろうか。

制服問題も頭髪問題も同じ。これらも全部、人を鈍感にさせるために存在しているとヲイラは認識している。なぜなら、その方が「管理」しやすいから。そして、一旦鈍感になってしまうとそれが「普通」になってしまい、なかなかそこからは抜け出せなくなる。曰く「だって制服の方が考えなくてええやん」である。こういうのの一つ一つが、人を鈍感にしていくと思うのよ。

そして、自分自身が鈍感になるだけでなく、他人を鈍感にする先兵にすらなる。敏感な人を、無言で制服姿で取り囲んだ状態を考えればわかるよね。当人たちは何も口にしなくても、そうやって制服で取り囲むという行為自体が攻撃になっているというコトに気づきもしない。それぐらい鈍感に成り下がっているというコトやね。

(念のためだけど、ヲイラは「制服」を否定しているのであって、セーラー服とかブレザーを否定しているのではないよ。そこを間違えないでほしい。一方、無言の圧力の象徴たるスーツは、申し訳ないけど制服扱いな)

そんなワケで、特に若い衆でこの辺りに悩んでいる人は、願わくば上手に鎧を繕って外力に抵抗できるだけの体力をつけ、でも、内側には元の敏感な部分をチャンと残した状態を維持することを祈る。そして、残念ながらその悩みはたぶん一生消えないので、むしろ大事にとっておいて常に悩み続けてほしい…

以上

Zak について

基本的にヲタクです。いや、別に萌えとかいうのではなく、ハマるとトコトン進めようとする癖があるので、自制が必要だという…。
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